令和4年度税制改正要望が公表されました
- 国税・地方税

毎年12月には税制改正大綱が公表されますが、その前段階で、9月末を期限に各省庁から税制改正の要望が提出されます。
令和4年(2022年)にはどのような税制が注目されているのか、ポイントを絞って見ていきたいと思います。
※なお、執筆段階(2021年9月)での要望であり、必ずしも税制改正大綱に織り込まれるものではありません。
各府省庁から提出された要望数
まず、各府省庁はどの程度の要望を提出しているのでしょうか。令和4年度(2022年)の要望数を見てみましょう。
要望項目数 | 廃止・縮減項目数 | |
---|---|---|
内閣官房 | 0 | 0 |
内閣府 | 22 | 0 |
金融庁 | 19 | 0 |
復興庁 | 3 | 0 |
総務省 | 5 | 0 |
法務省 | 2 | 0 |
外務省 | 0 | 0 |
財務省 | 3 | 0 |
文部科学省 | 4 | 1 |
厚生労働省 | 15 | 0 |
農林水産省 | 14 | 0 |
経済産業省 | 39 | 0 |
国土交通省 | 30 | 0 |
環境省 | 7 | 0 |
防衛省 | 0 | 0 |
合計 | 163 | 1 |
出典:財務省 令和4年度税制改正要望の状況について
※令和3年(2021年)8月31日付の集計結果になります。
※複数の府省庁が重複した要望を出すこともあり、上表は重複を含んでいます。
提出数が多いのは、経済産業省39件、国土交通省30件、内閣府22件となっています。
主な要望は、以下の通りです。
経済産業省

- 交際費の課税の特例措置の延長
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例措置の延長
- 海外投資等損失準備金の延長
なお、新設項目として「2025年大阪・関西万博の円滑な開催に向けた所要の措置」があげられています。開催まであと4年に迫っている大阪・関西万博に向けて財源を確保する動きが加速しそうです。
国土交通省

- 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例措置の延長
- 住宅ローン減税等の住宅取得促進策に係る所要の措置
新設項目では、「IR税制の具体化に係る所要の措置」を掲げています。
令和3年度税制改正大綱には、統合型リゾート施設で外国人カジノ利用客が得た賞金を所得税の課税対象としないことが織り込まれましたが、より具体的な制度設計が進むと見受けられます。
内閣府は、新設の要望はありません。
ただし、「新型コロナウイルス感染症に関する特別貸付けに係る消費賃借に関する契約書の印紙税の非課税措置の延長」を要望しており、コロナ禍で資金難に陥る企業の税負担を少しでも軽減したい狙いがあるようです。
また、金融庁は「完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収の見直し」を要望としては初めて提出しています。
完全子法人からの配当が全額益金不算入となるのは周知の事実ですが、「法人税が課されないにも関わらず源泉徴収をすることは効率性や有効性の観点からいかがなものか?」という意見があるようです。
源泉徴収がなくなれば実務担当者の手間も少しは減るはずなので、実現すれば嬉しい改正になります。
身近な税制は変わるのか?
みなさまに馴染みがあると思われる税制では、以下の要望が提出されています。

- 生命保険料控除制度の拡充(金融庁)
一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険について、所得税法上の所得控除限度額が、全体で上限12万円となっているところを、 各保険に5万円ずつ、合計15万円を控除できるようにする要望です。
民間調査会社によると、回答者の7割が「生命保険料控除制度が拡大すれば生命保険に加入したい」と答えており、制度の拡充で生命保険加入者を増やすことを目的としているようです。
将来の資産形成に不安を抱える現役世代を後押しする要望であり、ぜひ実現してほしいところではありますが、本要望は平成27年度税制改正より継続されており、今年も却下される可能性は高そうです…。
- 既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置の拡充及び延長(経済産業省)
こちらは、既存措置を延長する要望です。改修内容に応じて、固定資産税額を軽減する優遇措置になります。
自宅のリフォームを検討されている方には、ありがたい要望となります。
おわりに
今回は、令和4年度税制改正要望を簡単に紹介させていただきました。
要望に目を通すだけでも現状の課税制度の課題や改善点が読み取れるので、みなさまもぜひ一度通読してみてはいかがでしょうか。
辻・本郷税理士法人のYoutubeチャンネル『令和4年度税制改正の要望事項!中小企業関連項目を中心に』では、今回の要望についてより詳細に解説をしていますので、ぜひご覧ください。
法人ソリューショングループ 至田 拓弥

<関連情報>
【ニュース】2021年12月15日【速報】令和4年度(2022年度)税制改正大綱
<参考サイト>
【財務省】令和4年度税制改正要望の状況について
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