令和8年秋に導入される国税庁の次世代システム「KSK2」で税務調査はどう変わる?

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令和8年秋に導入される国税庁の次世代システム「KSK2」で税務調査はどう変わる?

現在では作業効率化・生産性向上のために、AI(人工知能)がもはや欠かせないものとなっています。国税庁における税務調査にしても同様であり、令和3(2021)年から本格導入されて以降、目覚ましい成果をあげています。

国税庁が公表した「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要(令和7年12月)」、「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について(令和7年12月)」によると、調査必要度の高い法人、個人納税者の選定にAIを活用するなどした結果、法人の追徴税額(法人税・消費税)が約3,400億円となり直近10年において最高値、また、所得税の追徴税額は約1,400億円となり過去最高を更新しました。

令和8年秋には、これらの動きを加速させる画期的なシステムが導入されようとしています。

国税庁のKSK(国税総合管理)システム

現行の国税庁のKSK(国税総合管理)システムは、平成7(1995)年から導入が始まり平成13年から全国で運用されています。導入からすでに四半世紀が経過しており、本年令和8年9月からこれに代わる次世代システム・KSK2が本格導入される予定になっています。

この導入によって、税務調査が国税サイドではさらに効率的・効果的に、反対に納税者サイドから見るとさらに厳しく実施されていくことになると考えられます。

なお、KSK2はAIによる税務調査システムではありません。あくまでもデータ・システムです。
KSKシステムはどのようなシステムなのか、KSK2が導入されると税務調査にどのような影響があるのかを見ていきましょう。

現行のKSKシステムとは

KSKシステムは、全国の11国税局・1事務所と524税務署をネットワークで結び、申告・納税の事績や各種の情報を入力することにより、所得税・法人税・消費税等の課税と国税債権を一元的に管理する国税庁の基幹システムです。
これらのデータを分析して税務調査や滞納整理に活用する、といったことなどに利用されています。

現行KSKシステムから次世代KSK2への変更点

現行KSKから次世代KSK2への変更点については下記のように説明されています。
国税庁資料に掲載されている、以下に引用した概要図を見ただけでも、制限の多い旧弊なシステムから現代的なシステムへと大幅な変更が成されたことがわかります。

現行KSKシステムから次世代KSK2への変更点

※引用:国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-令和5年6月23日」辻・本郷 税理士法人が一部加筆し、税務調査に関連する箇所を強調。

縦割り型から横断型へ

現在のデータベース・アプリケーションでは、税目別に法人税、所得税、消費税、相続税といった各税目に係る情報が縦割りに管理されています。KSK2ではこれが統合され、税目データが横断的に一元管理されます

税務署は税目ごとの縦割り組織(注)になっており、現行のKSKシステムでは、担当の税目以外の税目のデータを簡単には閲覧することができないシステムになっています。今後は、各税目の情報を横断的にすぐ確認できるようになります。

(注)税務署の調査を担当する部署は以下の部門に分かれています。

  • 個人課税部門:所得税や個人事業者の消費税等についての調査等担当
  • 資産課税部門:相続税、贈与税、土地建物や株式等を譲渡したときの所得税等についての調査等担当
  • 法人課税部門:法人税、法人の消費税等、源泉所得税、印紙税、酒税等の調査等担当

調査先からデータへのアクセスが可能に

調査先からデータへのアクセスが可能に
metamorworks / PIXTA(ピクスタ)

現行システムは個人情報保護の観点からアクセスが厳しく管理されており、庁舎内からの閲覧のみに限定されていました。

新システムKSK2では納税者情報を政府機関の閉域ネットワークGSS(ガバメントソリューションサービス)に接続したパソコン等で扱えるようになり、調査先等からパソコン等でアクセスが可能になります

これまでは、庁舎に持ち帰らなければデータを確認することができませんでしたが、新システム導入後は出先からアクセスして参照情報にたどり着けるので、調査スピードが段違いに向上することになります。

外部データの取り込みが可能になる

KSKシステムは、取り扱うデータの機密性の高さから外部と隔離されていました。新システムではインターネットから外部データを取り込み、調査等へ活用されるようになります

たとえば、金融機関等に対する預貯金等のオンライン照会を行ったり、地方税務当局とのデータ連携が行われるようになります。さらに、外国税務当局との情報交換で得られるデータもKSKに取り込まれることになると考えられます。

KSK2導入による税務調査への影響は?

「税務行政の将来像」によると、国税庁はAI・データ分析の活用、関係機関への照会等のデジタル化によって、とくに必要性の高い分野や悪質な事案等(・租税回避・富裕層の適正課税・消費税の適正課税・大口悪質事案)に重点をおいて組織としてのパフォーマンスの最大化を図ることとしています。

冒頭において記載したとおり、すでに税務調査の選定などにおいてAIが活用されています。KSK2の導入により法人税、所得税、相続税・贈与税等のデータが一元管理されるうえに、外部情報であるインターネット等情報も取り込めることになれば、AIで分析できるデータが格段に拡充されることになります。

同族会社は新システム導入後、なおさら注意が必要

さらに申し上げますと、法人の96.7%が同族会社であることからも、一族で経営する会社の法人税、社長及びその親族等の所得税、相続税・贈与税を総合的に管理することが可能になります
そのため、多税目の調査が増えていくのではないかと思われます。

一般に個人経営の色合いが強い、恣意性の強い会社経営が可能になっている同族会社の資金の流れを的確に把握するためには、相互に関わりあう法人とその代表者及び親族等の間の資金の流れを把握・検証する必要があります。

現在でも総合調査は行われていますが、今後はさらに強化されていくことが考えられます。
税務署の総合調査担当(法人税・所得税・相続税等の多税目を広域で調査する)の特別国税調査官が増員され、また、法人課税部門、個人課税部門、資産課税部門の連携した深度ある調査が今まで以上に行われることになると思われます。

おわりに

私たち辻・本郷 税理士法人には国税庁OB税理士が多数在籍しています。そのため、調査官側の目線に対応した調査対策・対応が可能です。

また、セカンドオピニオンサービスも行っていますので、現在の顧問以外の見解を求めたいとお考えでしたらぜひご活用ください。

適切な対応で、貴社の健全な経営を維持しましょう。

執筆担当: 新宿ミライナタワー事務所 審理室 米村 浩明

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