タイでの不動産所得~知っておきたい税務申告の要点と最新ルール
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タイでの不動産投資や物件所有は、資産運用として根強い関心を集めています。
しかし、現地での収益に対する税務申告については、日本の制度との違いから戸惑うケースも少なくありません。
本稿では、不動産所得の算定基準から、タイ特有の経費控除の選択肢、2024年に改めて注目された中間申告の留意点まで、実務のポイントを解説します。
タイでの不動産収益の考え方
タイの税務上、毎月の賃料収入だけが不動産収益とみなされるわけではありません。入居時に預かるデポジット(敷金)についても、入金された年度の所得と見なされる点に注意が必要です。
日本のように「退去時に返すものだから所得ではない」という理屈が通用しないため、キャッシュフロー管理には留意が必要です。
経費計上の2つの選択肢
所得から差し引ける経費については、以下の2つの方法から年度ごとに有利なほうを選択できます。
①簡便的な方法(標準)
不動産収益の30%を経費として申告できます。
メリットは、領収書などの証憑資料を用意する必要がない点にあります。
②実費を経費とする方法
実際に発生した費用を積み上げて控除します。
節税効果が高まる可能性がありますが、証憑の保管と、税務調査時対応のリスクがあります。
| 修繕費/維持費 | 賃貸物件のメンテナンスや修繕にかかった費用 |
| 減価償却費 | 建物や設備などの減価償却費 |
| 保険料 | 火災保険やその他の物件にかかる保険料 |
| 管理費/仲介手数料 | 不動産管理会社に支払う費用や仲介手数料 |
| 土地家屋税 | 不動産にかかる地方税(固定資産税に相当) |
デポジットを返金する際は、該当年の経費として計上できますが、実費を経費とする方法で申告する必要があります。
年度ごとに選択可能ですので、当年の損益状況と作業工数を考慮して判断できます。
中間申告(7月1日から9月30日まで)
個人所得の中間申告について、2024年9月にタイ当局から改めてガイダンスが公表されました。
1~6月までの期間に、60,000バーツ超(配偶者ありの場合は120,000バーツ超)の所得がある場合、個人所得税中間申告(PND.94)が必要となります。
不動産所得もこの対象となりますので、今後対応が必要になる可能性があります。
申告期間は7月1日から9月30日までです。
課税所得の区分と申告スケジュール

タイの個人所得税において、不動産賃貸収入は一般的に歳入法40(5)の所得(不動産賃貸や契約の譲渡による所得)として申告します。
ここには累進課税の税率(最大35%)が適用されます。
前年1月1日から12月31日までの年間所得については、翌年の1月1日から3月31日までに個人確定申告(PND.90)を行い、納税します。
土地家屋税について(2020年導入)
タイでは2020年から土地家屋税が導入されました。
自宅用か投資用かなど、物件の種別や評価額によって税率が異なり、評価額の0.02〜0.3%程度が目安です。
この税金は地方自治体によって徴収されており、個人居住用の5,000万バーツ以下の物件は非課税です。
外国人による不動産所有の規制
原則として、外国人による土地の直接購入・所有は禁止されています。ただし、コンドミニアムの所有は「コンドミニアム法」により、外国人の区分所有が認められています。
なお、建物全体の総床面積のうち、外国人が所有できるのは49%までという制限(外国人所有率49%ルール)があります。
おわりに
2024年の中間申告ガイダンスの再公表に見られるように、タイの税務環境はより透明性と厳格性を増しています。「海外での個人所得だから」と安易に捉えず、現地のルールにのっとった正確な申告を行うことが、持続的な投資やビジネス展開の鍵となります。
とくに実費控除の選択や中間申告の要否判断には、専門的な会計知識が欠かせません。
私たち辻・本郷 税理士法人は、税務・会計に精通した日本人・タイ人スタッフが所属する事務所をバンコク市内に構えており、皆様の適正な申告をサポートしております。
タイでの不動産所得の取り扱いについてお困りの際は、ぜひご相談ください。
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