DX投資促進税制の概要とポイント
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令和3年度税制改正の目玉となった、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)税制。
8月に税制の詳細な適用要件が公表されました。同時期の電子帳簿保存法の改正により令和4年1月から義務化が始まるためか、ここのところ問い合わせが増えております。
今回はDX税制の概要・取り扱いについて、ポイントを整理します。
DX税制の概要
DX税制はウィズコロナ・ポストコロナを見据えて、企業の経営戦略・デジタル戦略の一体的な実施を後押しするため創設されました。
適用にあたっては、産業競争力強化法の計画認定制度(事業適応計画の認定)が創設され、情報技術適応計画(DX投資促進税制)が主務大臣に認定されることで、各種税制の特典が活用できることとなります。
なお、認定されるためには全社レベル(一部門や拠点ごとなどの範囲ではない)でのDX化とされています。
制度概要
適用期限 令和3年8月2日~令和5年3月31日
デジタル(D)要件 | & | 企業変革(X)要件 |
---|---|---|
①データ連携 (他の法人等が有するデータまたは事業者がセンサー等を利用して新たに取得するデータと内部データとを合わせて連携すること) | ①生産性向上または売上上昇が見込まれる ・ROAが2014~2018年平均から1.5%ポイント向上 ・売上高伸び率≧過去5年度の業種売上高伸び率+5%ポイント | |
②クラウド技術の活用 | ②計画期間内で、商品の製造原価が8.8%以上削減されること等 | |
③情報処理推進機構が審査する「DX」認定の取得 (レガシー回避・サイバーセキュリティ等の確保) | ③全社の意思決定に基づくもの(取締役会等の決議文書添付) |
対象設備 | 税額控除 | or | 特別償却 |
---|---|---|---|
ソフトウェア | 3% | 30% | |
繰延資産※1 | |||
器具備品※2 | 5% | ||
機械装置※3 |
投資額上限 | 300億円(300億円を上回る投資は300億円まで) |
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投資額下限 | 国内の売上高0.1%以上 |
税額控除上限 | 「カーボンニュートラル投資促進税制」と合わせて当期法人税額の20%まで |
実務的な手続きについて
DX税制は、他税制と比較して実際の手続に期間を要します。
税制の利用にも期間を要しますので、投資を行う場合は、早い段階で顧問税理士などへのご相談をおすすめします。
DX投資促進税制の利用スケジュール
上記スケジュールのように事前相談を行うことで要件に合致するかを確認します。おおむね1~2カ月程度の期間が想定されています(個別事業者の進捗により異なるとされています)。
ここから計画の申請を出すことになりますが、DX税制の場合、計画認定と一体的に課税の特例への適合確認も行われます。
最終的に、他の投資税制と同様に取得・事業供与が税制適用の要件とされますが、余裕をもったDX投資を考えるのであれば、半年程度は期間を考慮するとよさそうです。
産業競争力強化法では他税制の活用も
今回取り上げたDX税制の創設により、冒頭に記述した産業競争力強化法が改正され、事業適応計画の認定を受ける手続きができました。
事業適応計画は事業環境の変化を踏まえたビジネスモデルの改革を行い、生産性向上・新需要の開拓を図ることが狙いとされています。
DX税制以外にも前項のような手続き・スケジュールで「成長発展事業適応」として繰越欠損金の控除上限の特例が認められ「エネルギー利用環境負荷低減事業適応」としてカーボンニュートラル(CN)税制も設けられております。
ESGやSDGsなどの兼ね合いもあり、生産性向上投資・環境投資などをお考えの中堅~大企業にとって本制度の利用は、現在公募がされている事業再構築補助金などの併用も考えられ、早期に検討されることをおすすめします。
おわりに
辻・本郷 税理士法人では、グループ会社の辻・本郷 ITコンサルティングと協同して、お客様のDX推進を提案しております。
2021年12月10日に公表された令和4年度与党税制改正大綱において、電子帳簿保存法の義務化について2年間の猶予期間が設けられました。先送りになったとはいえ、どこかで対応は必要となります。
電子帳簿保存法の対応を含めたDX化にお困りでしたら、ぜひ辻・本郷グループへご相談ください。

<参考サイト>
【経済産業省】事業適応計画(産業競争力強化法)
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