2025年10月から変わる?ふるさと納税制度のこれまでとこれからを解説!

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2025年10月からふるさと納税が変わる?制度のこれまでとこれからを解説!

多くの方が利用している「ふるさと納税制度」ですが、2025年10月よりルール改正が行われます。今回はふるさと納税に着目し、その制度背景や改正点を解説します。

数字で読み取るふるさと納税

皆さんは、ふるさと納税制度がいつから始まったかご存知でしょうか。

意外にも、今から15年以上前の2008年からスタートしました。
もともとは当時の福井県知事からの問題提起がきっかけで、大都市圏への人員流出にともなう税収の偏りを減らすために考えられました。

また、利用者側としては自分の生まれ故郷や応援したい自治体に、寄附金というかたちで直接的に貢献できる制度でもあります。

今では利用者も多く、聞き馴染みのある制度ですが、開始してしばらくは利用者も少なく、当初想定していた税収の平準化にはほど遠いものでした。

3.11震災以降と税制改正により利用者が急激増加

しかし、2010年代に起きた2つの出来事により利用者が急激に増加しました。1つ目は2011年の東日本大震災です。震災以降、募金やボランティアではない支援の形として、このふるさと納税制度が徐々に広がりました。

2つ目は2015年度税制改正です。この改正で控除額の拡充と手続きの簡略化(ワンストップ特例制度)が開始され、利用者がさらに増加しました。

2008年 2009年 2015年 2023年 2024年
受入額 約81億円 約771億円 約1,600億円 約1.1兆円 約1.2兆円
受入件数 約5万件 約6万件 約720万件 約5,800万件 約5,800万件

※総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」より引用

限度額の範囲内であれば実質2,000円の負担で各都道府県の魅力的な返礼品を受け取ることができるため、利用価値の高いサービスといえるでしょう。

これまでのふるさと納税制度改正とその背景

これまでのふるさと納税制度改正とその背景

今では多くの利用者がいるふるさと納税制度ですが、これまでに2度にわたりさまざまな改正が行われてきました。

2019年改正
規制項目 規制内容
返礼品・返礼割合の制限 寄付額の3割程度を返礼品の額とする
(※再三の通知に対して依然として返礼割合の高い商品を扱う4自治体をふるさと納税制度の対象外と発表)
返礼品の価格表示禁止 返礼品の価格やその返礼割合の表示を禁止
資産性の高い返礼品の禁止 商品券・電子マネー、貴金属など換金性の高い返礼品を禁止
2023年改正
規制項目 規制内容
自治体への規制 ふるさと納税の募集に関する経費を寄付金額の5割以下に制限
熟成肉・精米への規制 原材料が当該自治体と同一でなければならない

一部の自治体では、換金率の高い商品券や旅行券を扱ったり、人気の高い「肉・米・カニ」といった商品を地元産でないのにも関わらず返礼品として設定するようになりました。

その影響で、各自治体への寄付額の偏りが著しくなったため、2019年に大きく制度を改正し、また、2023年には自治体に対する細かな規制を行いました。

2025年の改正で起こる、仲介サイトに対する規制とこれから

これまでのふるさと納税制度改正とその背景

さまざまな改正を経て徐々に健全化してきたこの制度ですが、2025年10月には次の項に示す改正が行われます。

2025年10月改正
規制項目 規制内容
利用者へのポイント付与の禁止 仲介サイトから付与されるポイントを禁止

激化した仲介サイト間のポイント還元率競争に「待った」

ふるさと納税を行う際は基本的に仲介サイトを利用して申し込むこととなりますが、サイトによっては利用者にポイントが還元される仕組みになっていることがあります。

また、ポイントが高還元率になるキャンペーンを行ったり、付与されたポイントを仲介サイトが運営する他サービスに利用できたりと、利用方法はさまざまです。

しかし、このポイント付与における還元率の競争が仲介サイト間で激化してしまい、本来の趣旨である地元応援でなく、単に返礼品やポイントをお得に受け取る手段となっています。

また、ポイントによって実質的に3割以上の恩恵を受けることができてしまうことなどを受けて、2025年10月からはポイントの付与が禁止されます

改正後も「ふるさと納税」を楽しみながら活用しましょう

改正前の2025年9月までは今までと同様にポイントの付与が行われます。

改正後は、制度趣旨である「税収の平準化」「生まれ故郷や応援したい自治体への貢献」ということを念頭に置きながら、ご自身のふるさとやご友人・ご家族が住んでいる各都道府県、学生時代の修学旅行や夫婦で過ごした新婚旅行などの旅先での思い出を振り返りつつ、楽しみながらこの制度をご活用いただければと思います。

おわりに

今回は、ふるさと納税制度について解説しました。

辻・本郷 税理士法人では、各種税務申告や顧問対応のほか、ふるさと納税をはじめとした制度活用に関するご提案やご相談対応も行っております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

執筆担当: 仙台事務所 佐藤 大樹

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