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役員退職金について ~『不相当に高額』と指摘されないために~

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中小企業の多くで、経営者の高齢化による世代交代が進んでいます。
役員退職金は支給された役員にとって税務上の優遇措置が多く、また、その支給により、会社の資産を減らして株価を下げることができるなど事業承継の上からも魅力的です。

このため、役員退職金は高額になりがちで、課税庁から「不相当に高額」として否認されることも少なくありません。果たしていくらまでなら適正額と認められるのか、考えてみたいと思います。

1. 適正額の算定方法

過去の裁判例では、役員退職金の算定方法として「功績倍率法」と「1年当たり平均額法」という2つの方法が使われています。
功績倍率法は最もよく使用される方法で、次の計算式で示されます。

役員退職金の適正額 = 最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率 ・・・ ①

例えば、その役員の退職直前の役員報酬が月額100万円、役員在任期間が20年、功績倍率が3.0ならば、100万円 × 20年 × 3.0 = 6,000万円が適正な退職金額となります。

一方、1年当たり平均額法は、その役員が退職直前に入院するなどして、報酬が極端に減るなどといった特別な事情がある場合に使用され、次の計算式で示されます。

適正額の算定方法

2. 主要な裁判例にみる適正額

主要な裁判例にみる適正額

過去の裁判では、最終報酬月額は、その役員の在任期間中の最高額で、会社への功績をよく反映したものであるとして、功績倍率法を重視しています。
また、1年当たり平均額法では「同種・同規模法人の退職金額」が必要ですが、一般に入手できるデータから、これを正確に計算することはかなり難しいものと思われます。

この「同種・同規模法人」のデータについては、実は、功績倍率法についても必要となります。
功績倍率とは、同業類似法人の功績倍率の平均値又は最高値とされているからなのですが、実際には、昭和55年の裁判において、国が示した「社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6」が採用される場合が多くなっています。

なお、会社によっては、役員退職金規定で、会社に対する特別な功労があった場合の加算を設けていることがありますが、この功労加算については、ほとんどの場合認められていないので、注意が必要です。

3.「不相当に高額」とされないためのポイント

過去の事例では、功績倍率法の計算要素のうち、登記事項である勤続年数について争われたものはほとんどありません。
「不相当に高額」とされたものは、①退職の直前に報酬を極端に増額したか、②功績倍率が極端に大きいかのいずれかです。

問題とされた事例は、会社の不動産を売却したり、法人契約の保険金が満期を迎えたりして大きな収入があり、それに見合った支出をするために、無理に帳尻を合わせたものが多く、功績倍率が100倍を超えるものもあります。

「不相当に高額」と指摘されないためには、国が示した功績倍率に沿って役員退職金規程を整備し、事業承継の時期を見据え、役員報酬額を計画的に設定していくことが大切です。
後継者にバトンタッチ後も相談役などとしてしばらく後見するような場合、安易に報酬額を減額すると、完全な引退に際して、十分な退職金を支給できなくなることがあります。

バトンタッチの時点で「分掌変更の場合の役員退職金」を支給することや、合理的な期間であれば、それを分割払いにすることもできますので、事前の準備が大切になります。

役員退職給与が「不相当に高額」と認定された場合は、高額とされた金額については、会社の経費として認められず、法人税の負担が重くなるばかりでなく、加算税が課されることもあります。
事業承継に際しての役員退職金については、事前に専門家に相談されることをお勧めします。

参考【国税庁の情報】

(執筆担当:代々木事務所 味元 淳子)

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