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令和7年・8年限りの措置も? 子育て世帯必見の税制改正項目

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令和7年・8年限りの措置も? 子育て世帯必見の税制改正項目

昨今は少子化・人口減少が著しく、危機的な状況となっています。

子ども・子育て支援金の徴収(正確には社会保険料への上乗せ)が2026年4月から始まり、また、令和7年度税制改正で子育て世代向けに一般生命保険料控除の控除額も見直され、住宅ローン減税の借入限度額の上乗せや子育て対応リフォーム促進税制など、少子化・人口減少を食い止める足掛かりとなる改正内容になっております。

令和7年度限りの措置もありますので、年末調整や確定申告の際「手続きを忘れてしまった」「必要な書類を紛失してしまった」といったことがないよう、今から準備を整えておきましょう。

[令和7年度限り]住宅ローン減税借入限度額の上乗せ

令和6年分改正からの延長措置で、住宅ローン減税について令和7年も引き続き実施することとなりました。

19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」に該当する場合は対象となり、借入限度額が上乗せされます。

こちらの措置は令和7年分限りとなっておりますので、適用要件や必要書類など、早めに確認することをおすすめします。

住宅区分(新築住宅・買取再販) 通常の借入限度額 特例対象個人の借入限度 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 4,500万円 5,000万円 13年
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円 4,500万円 13年
省エネ基準適合住宅 3,000万円 4,000万円 13年

※1年間の控除額=借入限度額×0.7%

また、住宅借入金等特別控除を受ける最初の年分は以下の書類を添付のうえ、税務署に確定申告書を提出する必要があります。

1 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
※連帯債務がある場合は「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要です。
2 金融機関等から交付された「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
3 家屋の「登記事項証明書」などで床面積が50平方メートル以上(特例特別特例取得の場合は、40平方メートル以上50平方メートル未満)であることを明らかにする書類
4 家屋の「工事請負契約書」または家屋の「売買契約書」の写しなどで家屋の取得対価の額を明らかにする書類
5 [土地の購入に係る住宅借入金等について控除を受ける場合]
(1)土地の「登記事項証明書」などで敷地の取得年月日を明らかにする書類
(2)土地の売買契約書の写しなど土地の取得対価の額を明らかにする書類
6 [国または地方公共団体等から補助金等の交付を受けた場合]
市区町村からの補助金決定通知書などの補助金等の額を証する書類
7 [住宅取得等資金の贈与の特例(措法70の2、70の3)を受けた場合]
贈与税の申告書など住宅取得等資金の額を証する書類の写し

※表は国税庁「タックスアンサー No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」より引用

リフォーム促進税制を活用して、子どもがのびのび暮らせる住環境へ

リフォーム促進税制を活用しましょう

防音性を高めたり、間取りを変更したりと子育て世帯等にとって暮らしやすい住環境へのリフォームを行う場合、工事費用相当額の10%が所得税から控除されます。対象工事の限度額は250万円で、25万円が最大控除額となります。

制度の概要 所得税額の控除措置 備考
減税対象 リフォーム工事完了後
居住を開始した年分の所得税(1年)
こちらも令和7年分限りの措置となります
居住者の要件 次のいずれかに該当する者
①40歳未満で配偶者を有する者
②40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者
③19歳未満の扶養親族を有する者
リフォーム工事完了後の入居日の属する年(以下「居住年」)の12月31日時点の年齢で判断します。
住宅の要件 以下のすべてに該当すること
①子育て対応リフォームを行う方が所有し、居住する家屋であること
②子育て対応リフォーム工事後の家屋の床面積(登記簿表示)が50m2以上であること
③子育て対応リフォーム工事後の家屋の床面積の1/2以上が自己の居住用であること(併用住宅の場合)
・建物が共有名義の場合、減税の対象となる工事費を持分割合で按分します。
・区分登記できる構造の住宅で、各々の所有部分のみを工事した場合は、その部分の所有者の控除に適用されます。
その他の要件 以下のすべてに該当すること
①その年分の合計所得が2,000万円以下であること
②子育て対応リフォーム工事であることについて、増築等工事証明書により照明されていること
③子育て対応リフォーム完了後の居住開始日が令和6年4月1日~令和7年12月31日の間であること
④子育て対応リフォーム完了の日から6ヶ月以内に居住していること
子育て対応リフォームの標準的な工事費用相当額(※)の合計金額から補助金等の額を控除した額が50万円を超えていること
※告示で定められた単価に基づく金額であって、実際にかかった工事費用ではありませんのでご注意ください。
金額については国土交通省による「リフォーム促進税制ガイドブックをご参照ください
対象工事 ①住宅内における子どもの事故を防止するための工事
ex)転落防止の手すり取り付け、チャイルドフェンス設置、衝撃緩和型畳床やクッションフロアへの張替え
②対面キッチンへの交換工事
③開口部の防犯性を高める工事
④収納設備を増設する工事
⑤開口部・界壁・床の防音性を高める工事
⑥間取り変更工事
ex)子ども部屋の増設、水回りの近接、子どもを見守りやすい間取りへの変更

※表は国土交通省資料をもとに筆者が作成

各種リフォームで固定資産税の軽減措置も

子育て対応リフォーム以外にも以下4種類のリフォームについて、固定資産税の減額措置が受けられる可能性がありますので、お住いの市区町村のホームページ等をご確認ください。

  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム
  • 長期優良住宅化リフォーム

また、住宅リフォームに関しては補助金制度もありますので、住環境を整えつつ税負担も減らすことができます。

生命保険料控除の拡充

令和8年分の所得税について、居住者に23歳未満の扶養親族がいる場合の新生命保険料の一般生命保険料控除が見直されました
改正前の4万円に2万円上乗せされた6万円が控除限度額となります。

① 23歳未満の扶養親族を有する者 ② ①以外の者
年間の生命保険料 控除額 年間の新生命保険料 控除額
30,000円以下 新生命保険料の全額 20,000円以下 新生命保険料の全額
30,000円超60,000円以下 新生命保険料×1/2+15,000円 20,000円超40,000円以下 新生命保険料×1/2+10,000円
60,000円超120,000円以下 新生命保険料×1/4+30,000円 40,000円超80,000円以下 新生命保険料×1/4+20,000円
120,000円以上 一律60,000円 80,000円超 一律40,000円

※一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険控除の合計適用限度額は改正前の12万円となる

年末調整や確定申告の際は扶養親族の年齢、保険の種類と年間の保険料額に注意して控除額の計算を行う必要があります。

子ども・子育て支援金制度について

近年、生活に関わるあらゆる物価上昇が著しくなっています。
とくに子育て世帯は経済的負担が増えたと実感している方、あるいは世帯収入的に子ども一人を大学に進学させるだけでも精一杯と感じておられる方も少なくないことでしょう。

急速に進む少子化・人口減少に歯止めをかけるべく、社会全体で子どもと子育て世帯をライフステージに応じて支援していくこと等を理念とした「こども未来戦略」に基づき、子育てに係るさまざまな給付拡充の財源として「子ども・子育て支援金」が創設されました。

この支援金は医療保険の保険料に上乗せする形で負担することとなりますが、加入する医療保険により負担額が異なります。以下の表にそれぞれの負担額をまとめてみました。

一人当たりの支援金額
協会けんぽ 健保組合 共済組合 国民健康保険 後期高齢者
医療制度
2026年度
見込額
加入者
250円
加入者
300円
加入者
350円
250円 200円
被保険者
400円
被保険者
500円
被保険者
550円
一世帯あたり
350円
2027年度
見込額
加入者
350円
加入者
400円
加入者
450円
300円 250円
被保険者
550円
被保険者
700円
被保険者
750円
一世帯あたり
450円
2028年度
見込額
加入者
450円
加入者
500円
加入者
600円
400円 350円
被保険者
700円
被保険者
850円
被保険者
950円
一世帯あたり
600円

こども家庭庁資料をもとに筆者が作成

支援金制度は少子化対策に係るものであることから、国民健康保険の支援金においては低所得者軽減や子どもがいる世帯は拠出額が増えないよう子どもについての均等割額は全額軽減となります。

また、後期高齢者医療制度の支援金についても低所得者軽減が行われます。

この場合、18歳に達する日以後の最初の3月31日以前である者=一般的に高校を卒業する時期までの子を指します

おわりに

令和7年度税制改正での子育て世帯向けの税額控除や税制措置などを中心にご紹介しました。
なお、社会情勢の変化によっては今後も子ども・子育て支援制度の強化、負担軽減や税額控除が盛り込まれた税制改正が行われる可能性があります。

住宅リフォームに係る特例措置は令和7年分限定となりますので、この機会に安全性や防犯性を高めるリフォームをするのも良いかもしれませんね。

税務申告に関するご相談なら辻・本郷へ

住宅借入金特別控除の初年度申請も通常の確定申告も、仕事があって平日なかなか税務署へ行く時間が取れない、必要な書類が不足していないかご不安な方もいらっしゃると思います。

辻・本郷税理士法人では、確定申告書の他にさまざまな税務申告に関する相談やサポートを承っております。

全国90箇所に事務所があり、多くの専門スタッフが在籍しておりますのでぜひお気軽にご相談ください。

執筆担当:秋田事務所
 今野 真理子
参考サイト・参考文献
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