令和7年年末調整の不安を解消する3つの最終確認ポイント
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年末調整が一段落し、ほっとされている企業様も多いことでしょう。一方で、「今回の処理に不備はなかったか」「税制改正への対応は十分だったか」と、一抹の不安を感じていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。
令和7年度税制改正では、所得税の控除制度を中心に見直しが行われており、年末調整のみならず、今後の給与計算や人事・労務実務にも大きな影響を及ぼします。
本稿では、年末調整後に改めて振り返っておきたい3つのポイントを解説します。
年末年始や連休明けの慌ただしさも少し落ち着いた頃かと思いますが、ここで一度再確認し、2026年に気持ちの良いスタートを切りましょう。
その① 最新の計算ルールが反映されているか
令和7年度税制改正に伴い、年末調整の計算ロジック(控除額・所得要件)が変更されています。12月の実務では改正後の計算式で処理する必要がありましたが、適切に処理されていますか?
なお、基礎控除・所得要件については下記の通りになります。
| 所得要件 | 改正前 基礎控除 | 改正後 基礎控除 |
|---|---|---|
| 合計所得⾦額132万円以下 | 48万円 | 95万円 |
| 合計所得⾦額132万円超336万円以下 | 48万円 | 88万円(令和9年分以後は58万円) |
| 合計所得⾦額336万円超489万円以下 | 48万円 | 68万円(令和9年分以後は58万円) |
| 合計所得⾦額489万円超655万円以下 | 48万円 | 63万円(令和9年分以後は58万円) |
| 合計所得⾦額655万円超2,350万円以下 | 48万円 | 58万円 |
- 改正後の所得税法第86条の規定による基礎控除額58万円に、改正後の租税特別措置法第41条の16の2の規定による加算額を加算した額となります。
- 合計所得⾦額が655万円以下の場合は、58万円にそれぞれ37万円、30万円、10万円、5万円を加算した⾦額となります。なお、この加算は、居住者についてのみ適用があります。
- 合計所得金額2,350万円超の場合の基礎控除額に改正はありません。
※引用:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
年末調整の税額は、「改正後の基礎控除額等」をベースに年税額を計算しつつ、源泉徴収税額は改正前の税額表分との調整を行う取扱いとなる点にも注意が必要です(とくに12月分給与・控除計算)。
一方で、毎月の給与から天引きされていた源泉所得税は、改正前の基礎控除額(480,000円)を前提としており、改正前の源泉徴収税額表により計算されています。そのため、毎月の源泉税額がやや多くなり、年間の源泉徴収税額合計が年税額より多くなるという状態が発生します。
具体的な事例をもとに確認しましょう。
【年収500万円の会社員】
- 年間の給与収入:500万円
- 社会保険料控除等:70万円
- 配偶者控除等:なし
- 毎月の給与・賞与は一定額
- 源泉徴収税額:改正前の税額表に基づき、毎月天引き済み
年末調整においては、改正後の基礎控除額を用いて年税額を計算します。
| 給与所得控除 | 5,000,000 × 20% + 440,000 = 1,440,000円 |
| 給与所得控除後の所得 | 5,000,000円 - 1,440,000円 = 3,560,000円 |
| 社会保険料控除 | 700,000円 |
| 基礎控除(改正後) | 680,000円 |
| 控除額合計 | 1,380,000円 |
| 課税所得(給与所得控除後の所得-控除額) | 3,560,000円-1,380,000円=2,180,000円 |
この課税所得を基に、年税額を確定します。
| 年税額(課税所得 × 10% - 控除額) | 2,180,000円 × 10% - 97,500円※ = 120,500円 (改正前:2,380,000円 ×10% - 97,500円 = 140,500円) |
※国税庁タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」内、計算方法・計算式より
改正前との差額が20,000円となり、この金額が還付されるため12月分給与の手取りが増える現象が起きます。
②扶養判定や所得要件の見落としはないか

令和7年度税制改正では基礎控除額の見直しに加え、扶養控除・配偶者控除等の判定に影響する「所得要件」も実務上の注意点となっています。
とくに、以下のケースなどでは、「前年まで問題なかったから今年も同じ」という処理が、結果的に誤りとなる可能性があります。
- 副業収入がある従業員
- 年の途中で働き方が変わった従業員
- 配偶者の収入が増減したケース
申告書の数字と実際の所得見込みが合っているか、年末調整後だからこそ、あらためて確認しておきたいポイントです。
③判断に迷った点を、そのまま処理していないか
忙しさのあまり「例年通り」で済ませてしまった小さな違和感はありませんか?
今回のような大規模な改正が絡む場合、その判断の誤りが翌年以降の源泉徴収事務にまで影響を及ぼす恐れがあります。
小さな違和感でも、そのままにせず整理しておくことで、実務の安心と2026年のスムーズなスタートにつながります。
おわりに
年末調整が終わると、どうしても次の業務に意識が向きがちですが、「終わった後の確認」こそが、実務の安心につながります。
- 計算ルールは本当に改正後の内容になっているか
- 扶養・控除の判定に無理はなかったか
- 判断に迷った点を、来年に持ち越していないか
少しでも気になる点がありましたら、辻・本郷 税理士法人では個別のケースに応じて確認・整理することも可能です。
「これで合っているか、一度確認してほしい」など、そんな段階でも構いませんので、ご相談ください。
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