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役員賞与(事前確定届出給与)を全額不支給とした場合の取扱いはどうなる?

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役員賞与(事前確定届出給与)を全額不支給とした場合の取扱いはどうなる?

7月も半ばを過ぎました。多くの法人様におかれましては、3月末決算が6月末の定時株主総会をもって完了し、一息つかれたところかと思います。

時期柄、事前確定届出給与についてのお問い合わせが増えています。
今回は、実際に支給時期が到来した際にその全額を不支給とした場合の取扱についてまとめました。

役員賞与をまったく支給しなければ税金には影響しない?

事前確定届出給与に関する届出書を提出したものの、このコロナ禍の影響で当初の予定よりも経営状況が悪化したしたこと等により、その全額を不支給とした会社があったとします。

以下はシンプルに社長1名の会社で社長と株主が同一である場合をイメージしております。
不支給としたことにより、会計上は「仕訳なし」として処理されると思いますが、税務上の仕訳は下記となります。

【株主総会で決議された支給額を100とした場合】

税務上 役員賞与 100 / 未払金    100
    未払金  100 / 債務免除益  100

未払金…株主総会での決議に基づき、支給到来日に、社長に役員報酬に対する請求権が発生するため、会社には役員報酬を支給する債務が生じる。

債務免除益…社長が役員賞与に対する請求権を放棄したと考えられるため、会社は役員賞与の支給義務を免除されたことに対する収益を認識する。

したがって、税金計算上、以下の影響が生じます。

 ①役員賞与の実際支給額が届出額と異なるため、支給額の全額が損金不算入(本件は実際支給額0のため、損金不算入額なし)となる。
 ②会社は役員報酬100の発生を認識し、これに対する源泉徴収が必要になる。
 ③債務免除益100が収益として課税される。

支給日到来前に役員賞与の全額を不支給とする決議をしましょう

ここまでは、支給日到来に役員賞与の全額を不支給とした場合の影響をお伝えしました。

ところで、一般に役員賞与に係る債務はその支給日に確定すると考えられています。
そのため、支給日が到来するに取締役会等で全額不支給の決議を行い、社長が賞与の受領辞退をすることにより上記の影響を免れることができます。

税務上 役員賞与 0 / 未払金   0
    未払金  0 / 債務免除益 0

 ①同上
 ②支給日の到来前に辞退した場合には課税しない。
  所得税基本通達28-10(給与等の受領を辞退した場合)
 ③支給しなくなった賞与に係る債務免除益は益金の額に算入しない。
  法人税基本通達4-2-3(未払給与を支払わないこととした場合の特例)

事前確定届出給与の届出内容変更も可能

事前確定届出給与についても、「やむを得ない事情」に該当した場合、業績悪化改定事由・臨時改定事由が認められます。

コロナ禍の影響で当初の予定よりも経営状況が悪化したしたこと等は、「やむを得ない事情」に該当するとして国税庁も柔軟に対応しているのは周知の通りです。

そこで、支給日到来前に株主総会等で役員報酬の金額そのものを減額する決議を行い、事前確定届出給与に関する変更届出書を税務署に提出してみるといった手法も考えられます。

ただし、事前確定届出給与については、もともと利益調整を排除する観点から、事前に支給額と支給時期を定め、その定めにのっとって支給したものについてのみ、損金として認めるとしています。

そのため今回のケースでも、事後の変更が必ずしも認められるとは言えませんが、変更届出書が認められなくても上記①②③の取扱いになるだけで、追加で不利になることはありません。

おわりに

いかがでしたでしょうか。事前確定届出給与(賞与)は、税務上の影響を受けず、その支給をやめることができる余地があることがお分かりいただけたかと思います。

ただし、あくまでも支給日が到来する前に所定の手続きをすることが前提になります。
もし該当する場合には、早めに顧問税理士等に相談することをおすすめします。

執筆担当:法人ソリューショングループ 田端 幸治

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