判断ミスに注意!交際費・福利厚生費・給与の基礎知識
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飲食費、社員旅行、健康診断等は会社の経費として頻出するものですが、その内容によって交際費、福利厚生費、給与と税務的な取り扱いが異なります。
この判断を誤ると税務調査時に思わぬ課税が発生してしまうため注意が必要です。
今回は交際費、福利厚生費、給与の基本的な考え方および代表的なものをいくつか例として挙げ、その内容による税務的な取り扱いの違いをご紹介します。
交際費、福利厚生費、給与の基本的な考え方
交際費
得意先や事業に関係のある者に対する接待等のために支出するものをいいます。「事業に関係のある者」には自社の従業員等も含まれます。
法人の規模や飲食費の金額によって、税金計算上の経費にできる上限が決まっています。
福利厚生費
自社の従業員の慰安等のために支出するものをいいます。支出の内容により一定の要件を満たす必要があります。
基本的要件は下記になります。
- 特定の従業員だけではなく全従業員が対象となっている
- 金額が社会的に一般的な金額になっている
- 従業員に金銭を直接渡すものではないこと
給与
給料や賞与、各種手当等の従業員に対して現金を支給するものをいいます。
通勤手当等で一定の要件を満たす手当は給与から除外されます。
現金の支給以外でも従業員が会社から経済的利益を受けた場合は給与となる可能性があります。
内容による取り扱いの違い

飲食費や通勤手当、社員旅行、健康診断、社宅など、経費の種類によって税務上の扱いが大きく異なります。
具体的なケースを例に、交際費、福利厚生費、給与のいずれに該当するかを解説します。
飲食
交際費となるもの
- 取引先等の社外の人との飲食(一人当たり10,000円以下のものは除く)
- 社内の一部の者だけで行う飲食(社内飲食費)
会議費となるもの
- 社内会議の際の飲食
福利厚生費となるもの
- 忘年会や歓送迎会等の社内行事として行われる飲食
給与となるもの
- 社内行事や接待、慰安でもなく業務に関係のないプライベートな飲食
- 上記、会議費や福利厚生費で金額が社会通念上一般的な金額を大幅に超える飲食
通勤手当
福利厚生費となるもの
- 通勤手当のうち一定の限度額までの金額
この場合の「一定の限度額」とは、以下の通りです。
公共交通機関の場合
- 最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額(グリーン車両料金は除き、1ヶ月15万円が限度額)
マイカー通勤の場合
片道の通勤距離に応じて、以下の金額が限度額として定められています。
片道の通勤距離 | 限度額(1ヶ月当たり) |
---|---|
2キロメートル未満 | 0円 |
2キロメートル以上10キロメートル未満 | 4,200円 |
10キロメートル以上15キロメートル未満 | 7,100円 |
15キロメートル以上25キロメートル未満 | 12,900円 |
25キロメートル以上35キロメートル未満 | 18,700円 |
35キロメートル以上45キロメートル未満 | 24,400円 |
45キロメートル以上55キロメートル未満 | 28,000円 |
55キロメートル以上 | 31,600円 |
給与となるもの
- 通勤手当のうち上記一定の限度額を超えた部分の金額
出張手当(日当)
福利厚生費となるもの
- 出張に係る旅費のうち通常必要と認められる金額
給与となるもの
- 通常必要と認められる金額を大幅に超えた出張手当の支給
社員旅行
福利厚生費となるもの
- 期間が4泊5日以内であること
- 参加人数が全体の50%以上であること
給与となるもの
- 自己の都合で参加しなかった従業員に金銭を支給する場合(旅行か金銭か選択ができる)
- 役員や特定の従業員のみを対象としている場合
- 役員や従業員の家族も参加しており、家族分も負担した場合
交際費となるもの
- 取引先等の社外の人も参加している場合
健康診断
福利厚生費となるもの
- 全従業員を対象としており金額も一般的である場合
※人間ドッグについては健康管理の観点から、一定の年齢以上を対象とするのは問題なし
給与となるもの
- 役員や特定の従業員のみを対象としている場合
- 費用が著しく高額である場合
社宅
福利厚生費となるもの
- 会社が所有または契約した物件を一定額の家賃(賃料相当額の50%以上)で貸している場合
賃料相当額(下記①~③の合計額)
①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
②12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
給与となるもの
- 従業員が直接契約した物件で家賃補助として金銭を支給する場合
- 無償や一定額の家賃より安く貸している場合
おわりに
交際費、福利厚生費、給与の基本的な考え方およびいくつかを例として、一般的な判断方法をご紹介しました。
金額等は明確な基準がないものもあるので、個々の状況に応じた判断が必要となります。
また、これから各福利厚生制度を導入する場合は社内の規定を整えておくことも大切になります。
判断に迷う場合やお困りのことがございましたら、私たち辻・本郷 税理士法人までお問い合わせください。

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