令和8年以降に適用開始する税制改正事項は? 注目すべき項目をピックアップ!
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令和7年(2025年)12月に、「令和8年度税制改正大綱」が公表されました。
今回の改正では、長年の課題であった「年収の壁」への対応や、暗号資産(仮想通貨)の課税方式の変更など、個人の生活や資産形成に直結する大きな見直しが含まれています。
本稿では、令和8(2026)年以降に順次適用される改正事項のなかから、とくに注目度が高い項目をピックアップして解説します。
基礎控除等の引上げ(「年収の壁」対策)[令和8年1月・令和9年1月~]
物価高への対応および「年収の壁」の解消に向け、基礎控除等の引上げが行われます。
具体的には、合計所得金額が2,350万円以下の個人の基礎控除額が恒久的に4万円引き上げられるほか、令和8年・9年の2年間を対象とした時限措置としてさらなる上乗せが行われます。給与所得控除についても最低保障額が引き上げられ、これらを合わせることで、いわゆる「103万円の壁」のラインが引き上げられることになります。
適用は、所得税については令和8年分以後に、個人住民税については令和9年度分以後となります。
上記の基礎控除の引き上げにともない、同一生計配偶者や扶養親族の所得要件についてもそれぞれ4万円引き上げられます。
住宅ローン控除の5年延長と見直し[令和8年1月~]

住宅ローン控除の適用期限が5年間延長され、令和12年12月31日までとなります。
ただし、従来どおり省エネ基準に適合しない新築住宅は原則として対象外となる一方、省エネ基準適合以上の中古住宅については控除期間が10年から13年間に拡充されるなど、環境性能を重視した内容に見直されます。
また、災害リスクの高い地域(災害危険区域等)での新築住宅については、原則として住宅ローン控除の対象外となります。
今後住宅の購入をお考えの方は、以下の2点をかならずご確認ください。
- 省エネ基準に適合しているか
- 災害危険区域等に該当しないか
マイカー通勤手当の非課税限度額引上げ[令和8年4月~]
自宅から勤務地までの通勤にかかる費用を会社が支給する通勤手当ですが、あらたに駐車場代に対する手当についても月額5,000円まで非課税枠が設けられます。
こちらは令和8年4月1日以後に受けるべき通勤手当から適用されます。
また、マイカー通勤者への通勤距離に応じた手当に対する非課税限度額に関し、片道65km未満の部分については2025年11月に改正が行われています。
令和8年税制改正大綱では、あらたに片道65km以上の通勤距離に対しても段階的に非課税限度額が引き上げられることが公表されましたので、あわせてご確認ください。
| 通勤距離区分(片道) | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 片道2km未満 | (全額課税) | 同左 |
| 2km以上10km未満 | 4,200円 | 同左 |
| 10km以上15km未満 | 7,100円 | 7,300円 |
| 15km以上25km未満 | 12,900円 | 13,500円 |
| 25km以上35km未満 | 18,700円 | 19,700円 |
| 35km以上45km未満 | 24,400円 | 25,900円 |
| 45km以上55km未満 | 28,000円 | 32,300円 |
| 55km以上65km未満 | 31,600円 | 38,700円 |
| 65km以上75km未満 | 45,700円 | |
| 75km以上85km未満 | 52,700円 | |
| 85km以上95km未満 | 59,600円 | |
| 95km以上 | 66,400円 |
※背景色がピンク:令和8年4月1日以後に受けるべき通勤手当に適用
賃上げ促進税制の見直し・廃止[令和8年~]
企業による賃上げを支援する「賃上げ促進税制」について、企業規模に応じた見直しが行われます。
大企業向けの措置については、令和8年3月31日をもって廃止されます。
中堅企業向け措置についても要件が見直されたのち、令和9年3月31日をもって廃止される予定です。
中小企業の方々におもに適用される中小企業向け措置については、教育訓練費の上乗せ措置が廃止されるものの、制度自体は継続される見込みです。そのため、賃上げに対する税務的な恩恵は引き続き受けることができます。
商品として小口化された貸付用不動産の評価見直し[令和9年1月~]
マンションなどの不動産に対して小口で出資する、いわゆる「不動産小口化商品」の評価方法が抜本的に見直されます。
これまでは、路線価等に基づく評価によって市場価格よりも大幅に低い評価額となるケースがありましたが、今回の改正により、取得した時期にかかわらず、原則として「通常の取引価額(時価)」で評価することになります。
販売会社が提示する買取価格や売買実例価額などが評価の基準となり、令和9年1月1日以後の相続・贈与により取得する財産の評価から適用されます。
インボイス制度 小規模事業者への配慮[令和9年~]

インボイス登録により消費税の納税が必要となった方々に対しての激変緩和措置として、売上にかかる消費税の20%が納付額となる、いわゆる「2割特例」が令和8年9月30日で終了となります。
また、今後はこれに代わり、納税額を3割に抑える新たな経過措置が設けられます。
この「3割特例」は、令和9年および令和10年に含まれる課税期間において適用可能ですが、本改正より制度対象から法人は除外されるため、あらたにインボイスを登録する法人については注意が必要です。
NISA(少額投資非課税制度)の拡充[令和9年~]
資産形成を後押しするため、NISAの対象範囲が広がります。「つみたて投資枠」の対象年齢が0歳まで引き下げられ、未成年者も利用可能になります。また、投資対象商品の要件が緩和され、債券を中心とした投資信託も対象に追加されるなど、より安定的な運用が可能となります。
今までは、子どものために通帳を作成して預金したり、学資保険のような貯蓄型の生命保険に加入することが一般的でしたが、この改正によってあらたな選択肢が増えました。
年間60万円までという投資上限はあるものの、投資信託のメリットを最大限受けるために必要な「長期保有」という点においては、非常に相性のよい改正です。
これらは、令和9年分以後のNISAについて適用される予定です。
ふるさと納税の特例控除額の上限設定[令和10年~]
高所得者による過度な節税を是正するため、ふるさと納税(寄附金税額控除)の特例控除額に上限が設けられます。これまでは所得に応じて上限なく控除額が増えていましたが、今回の見直しにより、給与収入1億円相当を超える部分については定額の上限が設定されます。
この見直しは、令和10年度分以後の個人住民税から適用されます。
暗号資産(仮想通貨)の申告分離課税化
暗号資産取引による所得について、従来の総合課税(最大税率約55%)から、申告分離課税(税率20.315%)への変更がついに決定されました。さらに、特定暗号資産の譲渡損失については、確定申告を行うことで翌年以後3年間の繰越控除が可能となります。
注意点として、金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産(特定暗号資産)に限るため、ビットコイン以外のアルトコインを扱っている場合には、本改正に該当する暗号資産かどうかの確認が必要です。
本改正は、金融商品取引法改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後の取引から適用されます。
おわりに
令和8年度税制改正は、個人の働き方や資産形成を後押しする減税措置がある一方で、富裕層や不動産オーナーにとっては増税となる項目も含まれており、メリハリのある内容となっています。
より詳細な情報や施行タイミングについては、当法人コーポレートサイト内の「令和8年度税制改正のポイント」に掲載されている「速報・令和8年度税制改正大綱」をご確認ください。
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