辻・本郷 税理士法人
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詐欺などがあった場合の法人税の取り扱いはどうなる?

  • 法人税

詐欺などがあった場合の法人税の取り扱い

詐欺などの不法行為による被害は、法人・個人を問いません。
不幸にして被害にあった場合、法人では税務上どのような処理が考えられるのでしょうか。

今回は詐欺を例にご紹介します。

代表的な考え方

代表的な考え方として以下の2つの説があります。

同時両建説(A説)

詐欺による損害が発生した事業年度で、当該損失を損金の額に算入するとともに損害賠償請求権を同事業年度の益金の額に算入する。

異時両建説(B説)

詐欺による損害が発生した事業年度で、当該損失を損金の額に算入するが、損害賠償請求権についてはその額が確定したときに益金の額に算入する。

  詐欺被害の損金算入時期 損害賠償請求権の益金算入時期
同時両建説
【A説】
詐欺のあった事業年度 詐欺のあった事業年度
異時両建説
【B説】
詐欺のあった事業年度 賠償金の額が確定した事業年度

損害の損金算入時期

詐欺被害があったときの損金算入は、発生の事実により認識されます(法人税法22条3項3号)。したがって、損金算入時期は、通常、詐欺のあった事業年度になります。この点については、A説、B説とも基本的に変わりません。

損害賠償請求権の益金算入時期

詐欺被害を受けたことによる損害賠償請求権の益金算入

A説、B説で異なっています。イメージとして以下の仕訳をご参照ください。

[具体例]資産1億円を詐欺により喪失した場合(全額回収可能もしくは回収不能と仮定)

/

  損害発生時 損害賠償請求権取得時 回収時(回収不能時)
同時両建説
【A説】
(特別損失)1億円/(資  産)1億円
(未収入金)1億円/(特別利益)1億円
※損害発生=損害賠償請求権取得
(現預金)1億円/(未収入金)1億円
【回収可能
(貸倒損失)1億円/(未収入金)1億円
【回収不能
異時両建説
【B説】
(特別損失)1億円/
(資  産)1億円
(未収入金)1億円/
(特別利益)1億円
(預貯金)1億円/(未収入金)1億円
【回収可能
(貸倒損失)1億円/(未収入金)1億円
【回収不能
※法人税法上、回収不能(貸倒れ)については厳格な要件があります。

通達および裁判例

通達および判決には以下のものがあります。

「他の者から」損害を受けた場合の損害賠償請求権(法人税基本通達2-1-43)

実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入することができます。B説的な取り扱いで納税者にとって受け入れやすいといえます。

「法人の役員または使用人」から被害を受けた場合の損害賠償請求権(横領の場合)

(東京高裁平成21年2月18日判決)
損害賠償請求権は損失が発生したと同時に益金の額に算入することになります。A説的な考え方といえます。

おわりに

過去の判例にはA説的と思われるもの、B説的と思われるものが存在しています。

統一されていないのは、①担税力(税を負担できる能力)、回収可能性と恣意性(しいせい:論理的ではない勝手な判断や意図)の排除とのバランス、②権利確定主義(収益を計上する時期は「法的に確定した時」とするべき、という考え方)における「権利の確定」の定義が明確に確立されていないことなどがあげられます。

実務上、「他の者から」損害を受けた場合には法人税基本通達2-1-43が参考になると思われますが、「法人の役員や使用人から」横領などにより損害を受けた場合はより慎重な対応が求められます。

実際に処理されるにあたっては法令や通達、判例などを確認するとよいでしょう。

執筆担当:法人ソリューショングループ 寺島 忍

<参考サイト>
【国税庁】不法行為に係る損害賠償金等の帰属の時期 ―法人の役員等による横領等を中心に―

<参考資料>
佐藤友一郎編著『法人税基本通達逐条解説【九訂版】』税務研究会、P.254~257
中井稔、篠田裕『判例研究 法人が被った被害損失と損害賠償請求権の益金計上時期』、高岡法学第29号2011年3月

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