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会社にまつわる保険のあれこれ:社会保険編【シリーズ・会社設立】

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会社にまつわる保険のあれこれ 社会保険編

前回の記事『そのビジネス、会社にした方がお得かも!』では、事業で利益がほとんど出ていなくても会社設立をすれば節税につながるケースが多いことをお伝えしました。

いざ会社を設立すると、否が応にもさまざまな保険の話を耳にすると思います。
今回は会社にまつわる保険を網羅的に捉え、さらに一歩踏み込んで上手な保険との付き合い方を考えていきます。

本稿では社会保険(健康保険・厚生年金)を中心にお伝えし、次回(9月公開予定)は労働保険、次々回(10月公開予定)は生命保険を中心にお伝えします。

なお、本稿で取り扱う「社会保険」は以下2つの制度をさします。

  • 医療保険制度である健康保険
  • 国民年金のうち、第2号被保険者に分類される1階部分と厚生年金保険の2階部分からなる2階建て構造の公的年金制度

社会保険(健康保険・厚生年金)と国民健康保険

国民皆保険制度といわれるように、日本に住むすべての方は国民健康保険あるいは社会保険のどちらかの医療保険制度に加入しなければなりません。

ちなみに国民健康保険には、扶養という概念がありません。親が自営業の場合には、生まれたばかりの子どもでも国民健康保険に加入することになります。

医療保険と同様に、日本に住む20歳以上の方であれば国民年金(基礎年金)に加入しなければなりません。

会社を設立した場合、代表者は自身に役員報酬を支払うのであれば社会保険の加入対象となります。

従業員を雇った場合、フルタイムおよびフルタイムに近い(週所定労働時間がフルタイムの従業員の3 / 4以上)従業員は社会保険の加入対象となります。

令和4年(2022年)4月から成年の年齢が18歳に引き下げられましたが、年金への加入年齢は20歳のまま据え置きとなりました。

国民保険料の算定

参考資料として、表1に東京都新宿区の健康保険料の料率を掲載します。
前述したとおり健康保険には扶養という概念がありません。世帯人数が多いケースや配偶者がパート等で社会保険に入ってはいないものの、収入があるケースでは保険料が高くなる傾向があります。

ただし自治体によっては、保険料の減免もありますのであわせて確認が必要です。

表1 令和4年度の保険料率等
医療分保険料 後期高齢者支援金分保険料 介護分保険料
均等割額 42,100円
 × 世帯の加入者数
13,200円
 × 世帯の加入者数
16,600円
 × 世帯の加入者のうち40~64歳の加入者数
所得割額 世帯の加入者全員の算定基礎額 × 7.16% 世帯の加入者全員の算定基礎額 × 2.28% 世帯の加入者のうち40~64歳の算定基礎額 × 2.04%
賦課限度額 65万円 20万円 17万円

※出典:新宿区「保険料の計算方法について

事業所得が300万円の45歳のご夫婦と子ども2人(12歳、10歳)の4人世帯の場合

①均等割額は、表1に記載の金額から以下を合計します。
医療分保険料が42,100円 × 4人、後期高齢者支援金分保険料が13,200円 × 4人、介護分保険料が16,600円 × 2人 なので
168,400円 + 52,800円 + 33,200円 + = 254,400円 となります。

②所得割合は、
年間事業所得300万円から基礎控除43万円を差し引いた額に対して、医療分保険料の料率7.16%、後期高齢者支援金分保険料の料率2.28%、介護分保険料の料率2.04%を合計した11.48%を乗じます。
今回の場合、(300万円-43万円) × 11.48% = 295,036円 となります。

①と②で算出した額の合計549,436円が、国民健康保険の年額となります。
月額に換算すると45,786円です。

社会保険料の算定

社会保険料は、計算の基礎となる標準報酬月額に料率をかけることで月額が算定されます。

標準報酬月額とは、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分したもので、健康保険では1~50等級、厚生年金保険では1~32等級に分類されます。
ここでは東京都の場合を例に説明します。

表2 東京都の令和4年度標準報酬月額表(一部)

東京都の令和4年度標準報酬月額表(一部)

※出典:全国健康保険協会「令和4年度保険料額表(令和4年3月分から)東京都 

東京都の令和4年8月現在の健康保険料率は、以下のとおりになっています。費用は会社と従業員が折半で負担します。

  • 40歳未満の場合 9.81%
  • 40歳以上の場合 11.45%
  • 厚生年金 18.3%

子ども・子育て拠出金は0.36%となっており、会社が全額負担します。

45歳、給料が月額25万円の方の場合

①給料25万円の場合、表2を見ると標準報酬は20等級 = 標準報酬月額26万円となります。
②料率は、子ども・子育て拠出金を考慮外とすると、健康保険が11.45%、厚生年金が18.3%になるので、料率の合算は29.75%です。

社会保険料の総額は、①に②を乗じて算出しますので、
26万円 × 29.75% = 77,350円 になります。
これを折半すると38,675円となり、会社・従業員それぞれの負担分になります。

以下のように概算で料率の数字を覚えておくと、給料の試算をするときに便利です。

  • 給料 × 約30%が社会保険料の総額
  • 給料 × 約15%が会社負担額
  • 給料 × 約15%が従業員負担額

最新の社会保険事情

社会保険に加入する従業員

令和4年(2022年)10月以降、段階的に社会保険の加入要件が変わります。

令和4年10月以降は従業員数101人以上の会社、令和6年10月以降は従業員51人以上の会社が、下記の条件すべてに当てはまる従業員も社会保険の加入対象となります。
対象者が年々拡大されていることがわかるかと思います。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

代表者に役員報酬を支払わない場合

代表者に役員報酬を支払わない場合や、役員報酬の金額が著しく低い場合、社会保険に加入することはできません。

ここで知っておきたいのが、健康保険に加入していた方が退職した場合、本人の希望により保険加入を継続できる「任意継続」という制度があることです。退職後も最大で2年間延長することができます。

保険料は会社との折半ではなく、全額本人負担となります。
その一方で、親族を扶養に入れられること、健康保険組合のサービスを継続して受けられること等がメリットとしてあげられます。

任意継続の保険料には上限金額があることから、前職の給料が高額であった方や、扶養に入れる親族がいる方等は任意継続した場合がお得になるケースがあります。

ちなみに、厚生年金については任意継続がありません。社会保険に加入しない場合は国民年金に加入することになります。

配偶者を役員にして社会保険の被扶養者にする場合

社会保険では、親族を扶養に入れることができます。

非常勤役員であれば社会保険の加入義務はないので、同居している配偶者を非常勤役員とすれば、ある程度の役員報酬を支払ったとしても扶養に入れることができます。
この場合、年収を130万円以内とすることに加えて、報酬金額を代表者の報酬金額の半額未満であることが条件なので注意が必要です。

おわりに

辻・本郷 税理士法人には、起業のプロフェッショナルチーム「会社設立センター」があります。
年間300~400社の起業をお手伝いさせていただくなかで蓄積されたノウハウで、会社の創業期の最高のパートナーを目指しています。

会社の設立でお悩みの方、今回の記事が少しでも気になった方は、お気軽に電話や「メールでお問い合わせ」からご相談やご質問をいただければ幸いです。

執筆担当:京都事務所 会社設立センター 若林 義明

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