辻・本郷 税理士法人

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経営改善計画書について

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今年も残すところ後1カ月となりました。冬の寒さが近づくにつれて、新型コロナウイルス感染者が増大傾向にあります。皆様におかれましては、既に感染症対策は万全かと思いますが、引き続きお気をつけいただければと存じます。

事業者様の中には、経営状況が思わしくなく、新規借入、借入返済のリスケジュール等を検討中の方もいらっしゃると思います。
今回は、通常その際に必要となる経営改善計画書について説明いたします。

※新型コロナウイルスの影響で直近の資金繰りが悪化し、借入返済に悩んでいる方は、まずは中小企業庁「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール実施要領」をご覧ください。

経営改善計画書とは

経営改善とは、経営上の悪い点を見つけて改善することであり、経営改善計画書とは、それを数値化し計画した書類のことです。

日頃の経営改善に利用するため、あえて作成されている事業者様もいらっしゃるかもしれませんが、通常、金融機関への新規借入依頼、借入返済のリスケジュール依頼をするときに、金融機関から提出を求められ作成します。

特に形式が決まっているわけではありませんが、日本政策金融公庫の「経営計画策定に役立つ各種資料」の書式、記載例は参考になると思いますので、ご覧になることをお勧めいたします。

経営改善計画書 作成のポイント

以下、金融機関に対して計画書を提出することを前提に、作成上のポイントをあげます。

1. 実現可能な計画書を作成

新規借入等の目的を達成したいがために、楽観的な計画書を作成してしまうこともあるかもしれませんが、保守的に作成する必要があります。

特にリスケの場合、最低でも計画の80%以上を達成しないと金融機関の支援を受けられなくなる可能性が高いため、現実的で実現可能な計画書を作成する必要があります。

とはいえ、売上の減少が続く、赤字が拡大するといった消極的な計画書を作成しても、金融機関から支援は受けることは難しいので、数年以内の黒字化、5~10年以内の債務超過解消、その後借入返済と着実に収支改善を目指す形で作成します。

2. 現状を適切に分析し、外部環境より内部環境を記載

自社を取り巻く環境と向き合い、現状を適切に分析する必要があります。特に業種によっては、新型コロナウイルスという外部環境の影響は甚大ではあります。
しかし変えられない外部環境の分析は、現状を打開する手段を検討するうえでの情報収集程度にとどめ、内部環境を見つめ直し最善の手段を探っていくほうが現実的ではあります。

SWOT分析

急に分析と言われても困る方もいらっしゃるかもしれません。
決算書や会計データを3事業年度くらい並べて見るだけでも、収益構造、財務体質、生産性等の変化、商品、製品、サービスの売れ筋の変化等を見ることができます。

さまざまな分析手法がありますが、外部環境、内部環境の分析、改善手段検討の流れとしては、SWOT分析で現状を分析し、クロスSWOT分析で戦略、手段を探るという方法が検討しやすいと思います。

その他、公的機関等が発表している業種別の経営指標等は、無料で業界動向を知ることができ有用ですし、従業員へのアンケートは、経営者の視点からは気づきにくい内部の問題点等を知ることができます。

3. 取組事項を具体化、数値化(責任者、スケジュールの決定)

目標に向かって何に取り組めばいいのかを明確にするため、取組事項を具体化します。
また、達成状況、取組状況を確認するために、その事項を数値化します。例えば、売上維持・増加のために新規先訪問件数、商談回数等の目標数値を定めるといった具合です。

そのうえで社員の方一人一人に当事者意識を持ってもらうため、個々の事項について責任者とスケジュールを定めます。

4. 社長の役員報酬を減額

金融機関からの支援を受け目標達成を目指すうえで、まずは社長自身が責任を持ち覚悟を示すため、役員報酬を減額する必要があります。

終わりに

経営改善計画書の概要、作成ポイントについてまとめました。
本業に集中しなければならないため、ご自身で作成する労力を割けない方も少なくないと思います。まずは当法人へご相談いただければと思います。

「認定支援機関による経営改善計画策定支援事業」を利用しますと、認定支援機関の支援を受けながら経営改善計画を策定する場合、計画策定の費用や、その後のモニタリング費用の2/3(上限200万円まで※モニタリング費用含む)を国から費用負担してもらえます。利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

中小企業庁「認定支援機関による経営改善計画策定支援事業
※一定の要件を満たす個人事業種、法人が対象です。詳しくは当法人または経営改善支援センターにお問い合わせください。

当法人では引き続き、税務、会計その他のサービスを通じて、皆様の事業のサポートを続けてまいります。

(執筆担当:東京事務所 岡村 学)

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