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工場を新設する製造業者様へ、ご存じですか?自治体の立地補助金

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工場を新設する製造業者様へ!ご存じですか、自治体の立地補助金

工場を新設または増設される製造業の事業者の皆さま、自治体の補助金・助成金制度についてご存じでしょうか。

各自治体では積極的な企業誘致を推進しています。事業者様の「A県B市に工場を新設する」という設備投資計画を想定して、自治体ではどのような補助金・助成金制度があるのかをご紹介します。

「工場を新設します。何か使える補助金はありませんか?」

製造業のお客様から新工場を建てる計画があるが、補助金などお得な制度はないかとご相談がありました。事業内容は以下の通りです。

  • 現在、A県内で事業を行っている
  • 県内自社所有の遊休地に工場を新設したい
  • 工場5億円、設備5億円の設備投資計画
  • 近隣地域から新規雇用20人を採用予定

補助金といえば、再構築補助金やものづくり補助金が有名ですが、ご相談いただいたお客様は先の補助金の要件である売上減少もなく、新規事業も行わないため、こちらの補助金には当てはまりません。
また、現状では建物を対象とする補助金はほとんどありません。ただ、これは全国区の補助金のお話です。

建物を対象とする補助金は自治体にあり

県や市町村には、自治体ごとに優遇制度が設けられています。どの自治体も産業の高度化や地域経済の活性化、そして雇用の創出を図るため、企業誘致や工場誘致を積極的に行っています。
このため、製造工場等を新規に立地した企業の設備投資に対して、助成を行っています。

自治体ごとに名称は違いますが、「立地補助金」と言われているものです。
その制度も異なるため、概要や仕組み、申請の流れなどを、A県およびB市を例にご相談内容に合う補助金があるか調べてみましょう。

県の立地補助金

今回は、製造業のお客様が新工場を建設するという設備投資計画です。

A県の要件(下図)を確認しますと、区分は増設(県内企業の工場建設の場合は「増設」にあたると注意書きがあります)、業種は製造業を見ますと、交付要件は新規雇用11人以上、投資額5億円であることがわかります。この要件を満たせば、投資額の補助率1%(上限1億円)および新規県内雇用者一人当たり10万円が助成されます。

A県では、製造業のほかに、試験研究機関、情報サービス産業、コールセンター、流通関連業の業種も対象にしており、業種ごとに交付要件は異なります。

A県の立地補助金交付要件
A県の立地補助金の要件

中小企業や大企業などの企業規模による申請の可否や、要件達成までの期限や雇用継続年数や建築面積などの要件は自治体ごとに要綱や条例が細かく定められているので、同じ設備投資計画でもA県は要件に当てはまるのに、他の自治体では申請できない、ということがあるので、立地する際の要件確認は慎重に進める必要があります。

それでは、制度を活用するとどのくらい補助されるのか、A県の場合を調べてみましょう。

A県の制度活用による補助金・助成金

【例】対象設備投資額10億円、新規雇用者数20人

対象設備投資額10億円10億円 ×(補助率)1%=1,000万円
新規雇用者数20人(雇用者割)10万円 × 20人=200万円
補助額1,000万円+200万円=1,200万円 ※要件を満たす場合

県と市の制度は、多くは併用することができます。
それでは立地予定のB市の補助金も早速調べてみましょう。

市の立地補助金

B市の要件(下図)を確認しますと、先ほどと同じ設備投資計画から、業種は製造業ですが、B市内初進出であれば「新設」となります。すでにB市内で事業をおこなっている場合は「増設」又は「移設」となり、既存事業所より床面積が増加している必要があります。

新規雇用は20人の計画なので、区分は一般です。交付要件は、投資額1億円以上であれば、A県のように雇用者数の要件はないようです。この要件を満たせば、投資額の10%および新規雇用者一人当たり50万もしくは10万円(合わせて上限3億円)が助成されます。

A県B市の立地補助金 交付要件(製造業)
A県B市の立地補助金 交付要件(製造業)

それでは、B市の制度を活用するとどのくらい補助されるのか調べてみましょう。

B市の制度活用による補助金・助成金

【例】対象設備投資額10億円、新規雇用者数20人

対象設備投資額10億円10億円 ×(補助率)10%=1億円
新規雇用者数20人(雇用者割)50万円 × 20人=1,000万円
補助額1億円+1,000万円=1億1,000万円 ※要件を満たす場合

A県とB市の補助金を合計すると、以下の額になります。

A県 補助額1,200万円
B市 補助額1億1,000万円
補助額合計1億2,200万円

(参考)申請から補助金・助成金支払いまでのスケジュール

ある自治体の立地補助金の支払いまでのスケジュール

自治体の補助金・助成金制度を活用するには、多くが着工前までに申請を行うことを条件としています。着工を基礎工事からとするか、土地の造成からとするか、または工事請負契約日とするかなどは自治体に確認が必要です。

工場の申請を行い、自治体から認定を受けることで、認定日以降の本補助事業に要した投資額のうち補助対象経費(建物、設備など)が補助の対象になります。工場勤務のために正社員を採用した場合も一人当たり決められた額がもらえます。新規で取得した土地が対象となる自治体もあります。補助額を不動産取得税相当額や固定資産税相当額とする自治体もあります。

立地補助金のご支援の一例(実績)

下の表は、辻・本郷 税理士法人のグループ会社である、辻・本郷 ビジネスコンサルティング株式会社がご支援を行った立地補助金の一例です。
各自治体によって要件が違うように、補助対象経費も、投資額や不動産取得税相当額、固定資産税相当額など自治体ごとに補助の内容が違います。

辻・本郷 ビジネスコンサルティングがご支援を行った立地補助金の一例

おわりに

A県やB市の補助制度はあくまで一例ですが、新規雇用の対象者となる要件や、最低投資額や補助金の補助率や上限額、補助額の内容や対象設備の種類など、自治体によって要件が異なります。

また、自治体ごとに要綱や条例が細かく定められているため、事業内容が申請要件にあてはまるか事前のご確認が必要です。立地する県や市のホームページから「立地 補助金」などの検索ワードで詳細を確認することができます。

自治体の補助制度活用にあたり、アドバイスや計画策定、補助金支払いまでのお手続きを一括してサポート

今回は辻・本郷ビジネスコンサルティングの寄稿により、立地補助金についてご紹介しました。

補助金は、自治体へのご相談から補助金の支払いまでが2年以上と長期に渡るなか、決められた期限までに申請書や届出書など書類提出が何度もあります。
その他にも、新規雇用者に係る資料作成や、契約書や図面、対象設備のカタログや支払証憑など、提出書類の多さに驚かれると思います。

辻・本郷 ビジネスコンサルティングでは、自治体の補助制度活用にあたり、アドバイスや計画策定、補助金支払いまでのお手続きを一括してサポートいたします。
工場の建設をご計画されている事業者様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。

執筆担当:辻・本郷グループ 辻・本郷 ビジネスコンサルティング株式会社 坂本 美紀

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