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法人企業の税務調査、どんな企業が対象になる?

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「税務調査」と聞くと税務調査官が捜査令状を持ってやって来て、いきなり家宅捜索が始まるという映画やテレビでお馴染のシーンを思い浮かべる方も多いと思います。

しかし、一般の会社がそんな税務調査を受けることはほとんどありません。では、税務調査はどのように行われるのでしょう。今回は税務調査についての概要と、どんな企業が対象になるか選定方法をまとめました。

1. 税務調査とは

税務署

税務調査には「強制調査」と「任意調査」の2つがあります。

強制調査は脱税額が多額と見込まれる悪質な容疑者に対して、裁判所の捜査令状をもとに強制的に書類を押収して行われる特別な税務調査で、いわゆるマルサと呼ばれる国税局査察官による調査です。
これに対して任意調査とは、申告内容の不明点を確認するために、税務署が納税者に協力を依頼して実施する調査です。
そして一般的に「税務調査」といえば、この「任意調査」を意味します。

調査予定日の連絡もありますし、都合が悪ければ日程の変更も可能です。ただし現金商売の場合は、予告なしでいきなり調査に来ることもありますのでご注意ください。

2. 調査対象になりやすい企業は?

例えば次のような企業です。

①売上高、利益率が大幅に増減した

売上は急増したが、利益率は大きく低下して利益が少ない場合は「架空仕入」「在庫の過少計上」などが疑われ、調査の対象になりやすいと考えられます。
例えば、今まで材料支給だった取引が、材料を自社で仕入れるようになった場合もこうした現象が発生します。

売上や利益率が前期と比べて大きく変動した時は、その理由をしっかりと概況書(法人税確定申告書を提出する際に添付する法人事業概況説明書または会社事業概況書のことです。事業内容や従業員数などさまざまな項目を書式にしたがって報告します)などに記載して説明しておくとよいでしょう。

②役員報酬が高い(低い)

役員報酬が高額にもかかわらず、会社が赤字の時は「役員報酬が過大ではないか?」「税務調査を避けるために赤字にしているのではないか?」と疑われます。

特に非常勤役員に高額な報酬を支給している場合は、職務内容や勤務実態などに疑問を持たれます。
逆に、代表者の役員報酬が生活費に充たないほど少ない時は、売上除外や個人的な支出の会社への付け込みなどの不正が疑われます。

③代表者などからの借入金が大幅に増加した

代表者やその親族からの借入金が大幅に増加した場合は、その資金の出所が調査の対象になります。
特に収入が少ない親族からの借入金が大きく増加した場合は「売上を除外した資金を借入金に仮装して、会社に還流させたのではないか?」と疑いを持たれます。

3. 調査対象の選定方法

申告内容を全て税務職員が確認して、調査対象を選定するのは大変な作業です。
そこで、税務署ではKSKと呼ばれる国税総合管理システムを利用して、申告数値をもとに疑問のある企業を自動的に抽出し、これに各種の資料情報を付け合わせて調査対象を選定しています。

KSKには会社データはもちろん、その会社の役員や取引先の情報、金融機関からの情報等、膨大な情報が整理されています。
調査官は税務署の端末を操作するだけで瞬時にその情報にアクセスできます。見え透いた嘘で簡単に言い逃れができない時代になっています。

さらに今後マイナンバーの運用が本格的に始まると、情報量は急増し精度も一気に高まると予想されています。

いつ税務調査が来ても慌てないように、常日頃から正しい経理処理と帳簿書類の整理をしておくことが重要です。気になる方はお気軽にご相談ください。

(執筆担当:甲府事務所 功刀 智明)

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