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移転価格税制の基礎3 ~文書化制度

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移転価格税制 文書化制度近年、国際社会においてはグローバル企業が各国の税制や国際課税ルールの違いを利用することで、人為的に課税所得を操作し課税を回避することが問題となっていました。
これらは「税源浸食と利益移転」(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)の名称で知られています。

OECDではこの問題に対処するため、BEPSプロジェクトを立ち上げ平成27年(2015年)10月に最終報告を行いました。
15項目ある行動計画報告のうち、行動13では「多国籍企業情報の文書化」として移転価格税制の文書化に関する規定の策定および移転価格に関する情報を課税当局に報告させることを目的としています。

当該行動により共通化された文書は「事業概況報告書(マスターファイル)」、「国別報告書(CbCレポート)」、「ローカルファイル」という3つのファイル・レポートに分類され、多国籍企業がグループ全体の財務情報や事業情報等を国税当局に提出することを要請しています。

特定多国籍企業グループが作成する文書

特定多国籍企業グループが作成する文書として、下記2点を作成・国税当局へ提出します。

  • (1)事業概況報告事項(マスターファイル)
  • (2)国別報告事項(CbCレポート)

特定多国籍企業グループとは、多国籍企業グループ(その企業グループの構成会社等の居住地国が2以上あるもの)のうち、前事業年度の連結総収入金額1,000億円以上のグループを言います。

なお、これらの文書に加え、最終親会社等届出事項を提出する必要があります。詳しくは移転価格税制の基礎4 ~最終親会社等届出事項をご覧ください。

国外関連者との間で国外関連取引を行った企業が作成する文書

国外関連者との間で国外関連取引を行った企業が作成する文書として、下記を作成・国税当局へ提出します。

ローカルファイル

ただし、次の2つの要件を充足している場合には、ローカルファイルの作成義務は免除されます。

①前事業年度の国外関連取引の合計額が50億円未満
 かつ
②前事業年度の無形資産取引の合計額が3億円未満

※国外関連者については「移転価格税制の基礎1 ~国外関連者と法人税申告書別表17(4)」を参照ください。
※国外関連取引については「移転価格税制の基礎2 ~適用対象者と対象取引」を参照ください。
※作成義務が免除される場合であっても、税務調査で提出を求められた場合には60日以内に提出が必要となります。

税務調査の際の説明事項

税務調査の際には、当該文書に基づいて次の点について説明することが必要と考えられます。

イ)法人と国外関連者の間の資本関係
ロ)国外関連取引の概要
ハ)国外関連取引について採用している価格算定方法の具体的説明
ニ)比較対象取引がある場合のその概要
ホ)比較対象取引がある場合の差異調整の内容
ヘ)国外関連取引に係る契約内容
ト)法人および国外関連者の損益状況
チ)国外関連取引において法人およびび国外関連者の果たす機能および負担するリスク

3種類の文書の目的と諸要件

 事業概況報告書
(マスターファイル)
国別報告事項
(CbCレポート)
ローカルファイル
文書化目的グループ活動の全体像に関する情報を提供国別の活動状況に関する情報を提供国外関連取引における独立企業間価格を算定するための情報を提供
提出・作成
義務者
連結総収入金額1,000億円以上の法人国外関連取引が下記いずれかを満たす場合
①国外関連取引の合計額が50億円以上
②無形資産取引の合計額が3億円以上
提出・作成期限最終親会社等の会計年度終了後1年以内に提出確定申告書の提出期限までに作成
適用開始時期平成28年(2016年)4月1以後に開始する事業年度平成29年(2017年)4月1日以後に開始する事業年度

おわりに

辻・本郷税理士法人では、移転価格税制に関するリスク診断やローカルファイル作成などのサービスを提供しております。どうぞお気軽にご連絡ください。

執筆担当:法人ソリューショングループ 移転価格チーム 中原 隆佑

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