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移転価格と寄附金の違いとは?

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移転価格と寄附金の違いについて

国外関連者との取引であっても、対価を伴わない金銭その他の資産の贈与や債務免除などについては、「移転価格税制」ではなく、「国外関連者寄附金」の対象とされています。

「国外関連者寄附金」とされた場合、その全額が損金不算入となり、各国の税務当局との相互協議手続きによる国際的な二重課税の解消は期待できなくなります。

なお、「国外関連者寄附金」と「移転価格税制」の違いを具体的に説明した明文はなく、本稿でご紹介する法律や通達を踏まえて判断することになります。

移転価格事務運営要領 3-20(国外関連者に対する寄附金)

調査において、次に掲げるような事実が認められた場合
→ 「国外関連者寄附金」に該当する

①国外関連者に対して資産の販売等を行い、かつ、その取引に係る収益の計上を行っていない場合において、その資産の販売等が贈与または無償の供与に該当するとき

②国外関連者から資産の販売等に係る対価の支払を受ける場合において、その支払を受けるべき金額のうち実質的に国外関連者に対して贈与または無償の供与をしたと認められる金額があるとき

③国外関連者に資産の販売等に係る対価の支払を行う場合において、その支払う金額のうち国外関連者に対して贈与または無償の供与をしたと認められる金額があるとき

[注]国外関連者に対して財政上の支援等を行う目的で取引価格の設定や変更等を行っている場合において、その支援等に相当な理由があるとき
→ 「国外関連者寄附金」に該当しない

租税特別措置法 第66条の4第3項(国外関連者との取引に係る課税の特例)

法人が各事業年度に支出した寄附金の額のうち、国外関連者に対するもの
→ 損金の額に算入しない

法人税法 第37条第7項、第8項(寄附金の損金不算入)

寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、金銭その他の資産または経済的な利益の贈与または無償の供与をした場合における金銭の額もしくは金銭以外の資産の贈与時の価額または経済的な利益の供与時の価額による

実質的に贈与または無償の供与をしたと認められる金額
→ 寄附金の額に含まれる

法人税基本通達 9-4-2(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)

法人がその子会社等に対して無利息貸付け等をした場合において、例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものであるなど相当な理由があると認められるとき
→ 寄附金の額に該当しないものとする

[注]合理的な再建計画かどうかについては、個々の事例に応じ、総合的に判断するものであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う

おわりに

国外関連者との取引については、さまざまな論点や留意すべき事項がありますので、顧問税理士へお尋ねいただくか、当法人の担当までご相談ください。

私たち辻・本郷 税理士法人では、社内に移転価格専門チームを設けて法人の皆さまのご支援にあたっています。お困りのことがございましたら、ぜひご相談ください。

執筆担当:
法人ソリューショングループ 移転価格チーム 金森 里絵
  • 【国税庁】移転価格事務運営要領 第3章 調査
  • (同上)法令解釈通達第1款 寄附金の範囲等
  • 【e-Gov法令検索】租税特別措置法、法人税法、法人税基本通達
    • 辻・本郷 税理士法人編著『はじめの一歩 移転価格税制 30問30答』東峰書房
    • 辻・本郷 税理士法人編著『移転価格税制 20問20答【実践編】』東峰書房

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