令和9年度税制改正はどうなる? 各省庁の主要要望と、注目しておきたい不動産関連要望
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毎年12月中旬頃になり年の瀬が近づいてくるとニュースを賑わせる「税制改正大綱」。
この素地となっているのは、各省庁が関係団体等の意見などを踏まえてとりまとめ、毎年8月末に財務省へ提出する「税制改正要望」です。
今年も令和9(2027)年度税制改正に向けて、2026年8月末に各省庁や団体等からさまざまな税制改正要望が提出されました。
事業承継、個人の資産形成、金融商品、住宅・不動産など、その内容は多岐にわたります。
本稿では各省によるおもな要望について確認したうえで、現在最も注目されている不動産分野に注目し、「新築マンションの価格高騰への対応」について解説します。
各省によるおもな要望
[国土交通省]新築マンションの価格高騰への対応
短期間での転売などの取引実態を踏まえ、新築マンション価格の高騰に対応するための税制上の措置が要望されています。
[経済産業省]非上場株式の評価方法の見直し
取引相場のない株式について、相続・贈与時の評価方法を見直すことが要望されています。
[経済産業省]事業承継税制の拡充・抜本的見直し
早期事業再生法の施行に伴う拡充や制度の抜本的な見直しが要望されています。一定の中小企業において制度を活用できる場面が広がり、後継者への株式移転に伴う税負担を抑えながら事業承継を進められる可能性があります。
[金融庁]NISA等を通じた資産形成の促進
個人の安定的な資産形成を後押しする観点から、NISAをより利用しやすくするための制度上の対応などが要望されています。個人が長期・積立を中心とした資産形成を行う際の利便性が高まる可能性があります。
[金融庁・経済産業省等]金融商品の損益通算範囲の拡大
株式や投資信託などの金融商品について、利益と損失を相殺できる損益通算の範囲を拡大することが要望されています。
このように、2027年度税制改正では幅広い分野で見直しが要望されています。
そのなかでも不動産は取得時だけでなく、保有中や売却時、相続・事業承継時にも税務が関係するため、税制改正の動向を確認しておくことが重要です。
とくに注目しておきたい「新築マンション価格高騰への対応」

yama1221 / PIXTA(ピクスタ)
後半は、今回の要望のうちとくに注目される「新築マンションの価格高騰への対応」についてピックアップして解説します。
この要望の背景には、東京23区など都市部における新築マンション価格の上昇に加え、購入後、短期間で売却する取引など、実際の居住を目的としない取引の実態があります。
国土交通省の調査では、2025年上半期に新築マンションを取得してから1年以内に売買された割合は、東京23区で9.3%、都心6区では12.2%となっています。
ただし、国土交通省は、こうした短期売買の存在だけをもってマンション価格上昇の原因とすることは困難としており、引き続き取引実態の把握を進めています。
現時点では具体的な税率や課税方法などは決定しておらず、今後の議論では、短期転売への対応や実需と投資目的の取引をどのように区別するかなどが論点になると考えられます。
「価格高騰」の一方で、不動産市場には変化も?
一方、不動産市場全体を見ると、価格が上昇しているという一面だけでは捉えにくい状況もみられます。
中古マンション市場では、売主が希望する「売り出し価格」と、実際に取引が成立した「成約価格」の乖離が広がる、いわゆる「ワニの口」が注目されています。
2026年中は、成約件数の減少や在庫の増加もみられ、価格水準と実際の取引の間にギャップが生じていることが指摘されています。
これは、不動産価格が今後必ず下落することを意味するものではありません。
ただし、「価格が高い=すぐに売却できる」という状況ではなくなりつつある可能性もあり、不動産の「価格」だけでなく、「流動性」についても考える必要がある局面といえます。
税制から考える「不動産を持つ」ということ

genzoh / PIXTA(ピクスタ)
不動産を保有する場合、購入時の税金だけでなく、保有中の固定資産税等、売却時の譲渡所得課税、相続時の財産評価など、さまざまな税制が関係します。
また、個人で所有するのか、法人で所有するのか、賃貸用として運用するのか、自宅として利用するのかによっても税務上の取扱いは異なります。
そのため、不動産については、「いくらで買えるか」だけではなく、「どのように所有し、どのタイミングで売却するのか」という視点から検討することが重要です。
令和8年度税制改正でも不動産の評価に変化
不動産をめぐる税制の動きとしては、令和8年度税制改正に続き(2028年1月1日施行予定)、国税庁が2026年9月18日に「貸付用不動産の評価について」の法令解釈通達(案)について意見公募手続を開始しました。
不動産を活用した相続・資産承継については、これまでもさまざまな税制上の取扱いが設けられてきましたが、今後は不動産の保有・活用方法について、税制だけでなく、流動性や市場環境も含めて検討することが重要になります。
| 所有ステージ | おもな関係税目 | おもな検討・確認ポイント |
|---|---|---|
| 取得時 | 不動産取得税、登録免許税、印紙税 など | 購入時の税負担や特例の適用関係 |
| 保有時 | 固定資産税、都市計画税、所得税/法人税 | 所有形態(個人・法人)や運用方法(自宅・賃貸用)による税務上の扱い |
| 売却時 | 譲渡所得課税(所得税・法人税) | 売却タイミングや譲渡益に対する課税関係、流動性の確保 |
| 承継時 | 相続税、贈与税(財産評価) | 不動産の評価方法、将来の相続・事業承継を見据えた税負担の整理 |
おわりに
税制改正は、法人経営、個人の資産形成、不動産取引、相続・事業承継など、さまざまな場面に影響します。
なお、本稿でご紹介した各省庁からの「税制改正要望」や「通達(案)」は現時点での検討段階であり、今後の議論やパブリックコメントの結果によって内容や適用時期が見直される可能性があります。
今後の税制改正の議論や決定内容を踏まえ、必要に応じて対応を検討することが重要です。
「税制改正によって自社の事業にどのような影響があるのか知りたい」「不動産の取得・売却に関する税務上の取扱いを確認したい」「相続や事業承継を見据えて税負担を整理したい」などのお悩みがございましたら、辻・本郷 税理士法人までお気軽にご相談ください。
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